真砂沢のベースに入った翌日、八ッ峰をT峰から
入り、剣の稜線を縦走して本峰南壁と北壁を登る
2日間のコースで、出発した.
同行は、T樫さん.

八ッ峰〜南壁A1〜北壁L2

山の日記
別山乗越しから、八ッ峰の全容
富山〜室堂を回って剣に入った夏山
合宿では、八ッ峰、剣岳南壁A1、
北壁L2を連続して登りました.
■8月11日(晴)真砂沢〜八ッ峰〜平蔵避難小屋
長次郎雪渓に入って一番目の、入口に洞窟のあるルンゼが八ッ峰T峰の取り付きになる.
少し登ると雪渓がズタズタに切れており岩に移る.雪渓が完全に切れた所でアイゼンを脱ぐ.
1時間半位でルンゼを登り切り、T・U峰間のコルに出て、T峰を往復する.
八ッ峰の出発点、T峰の頂上は小広くて明るくいいムード.V峰の下りで、最初のアップザイレン.
W峰あたりからガスが湧いてきて、周りが見えなくなる.W峰の下降は、三の窓側へ落ちている
ルンゼに降りる変なクラックを伝うが、何度やってもうまく行かず、ここもアップザイレンする.ルンゼの雪渓を
トラバースしてX峰へ.ここでルートをミスし、トラバースし過ぎて、三の窓側の絶壁の上に出てしまい後戻り.
通常ルートで3回目のアップザイレンを済ませ、X・Yのコルへ.ベースとの定時交信で、ここから八ッ峰を縦走
するM月さんに「えれぇ悪い所ですよ−」とおどかす.Y峰のAフェースを登るパーティを横目に見ながら、
しっかりした岩稜を辿り、適当な所で昼食を全部食べた.これで剣岳を越えないと食べ物は無い!.Z峰はまく.
そのまま行くとトラバースし過ぎて、チンネの方へ行ってしまいそうなので、途中のルンゼを登って、八ッ峰の稜線に
戻った.ここで初めてT樫さんとアンザイレンし、ハーケンを1本打って40m、ザイルを伸ばした.ルンゼの終点は、
八ッ峰の頭と[峰間のギャップ.このギャップは、ガイドブックによると、体を倒して渡るとあったが、殆んど身長
程もあり、渡るためには死ぬ思いをしないと渡れない.インチキだなぁと悪態を付きながら、八ッ峰の頭に続く
リッジを伝い、頂上から左に折れて池ノ谷乗越しへ下った.
この頃には、二人ともヨタヨタして頭の中は夕飯の事で一杯.3級と言われる岩場の上下を繰り返し、やっと剣岳の
山頂へ.疲れ果てた姿を写真に撮っていたら、追い討ちを掛ける様に雨が降ってきたので、すきっ腹をかかえて
平蔵のコルへ下った.ビバークの積りが、立派な避難小屋があり、雨も降っているし、腹も空いてるからと(これは
関係無かったが)、小屋に入り、満員の先客の隅にもぐり込んだ.

■8月12日(快晴)平蔵避難小屋〜南壁A1〜頂上〜北壁L2〜長次郎沢〜真砂沢
昨日と較べ天気が良い.小屋前から平蔵谷を下り、南壁A1の基部に向かう.雪渓から岩に移り、4ピッチの
フェースと、2ピッチのリッジを済ませ
、2時間30分で南壁A1を終了.ルートを若干間違えて時間をロスしたが
残置ハーケンがかなりあり、ビレー用にハーケン1本打ったのみで、全て回収してきた.さすがに剣の岩は硬く、
快適だった.
南壁A1の終了点から剣の頂上を経由して長次郎沢コルへ向かい、トランシーバーで打ち合わせた通り、八ッ峰
上半を登って来たM月パーティと合流.北壁基部の雪渓をトラバースして、北壁Bバットレスへ行く.
M月さんが「俺達L1登るから、L2を登れよ.写真撮ってやるから」と言うので、L2を眺めると、殆んど垂直の
壁で、上部は1ケ所ハングしている長いリッジ.2パーティで、L1だ、L2だと騒いだが、結局、M月さんの案どおり
我々はL2へ行く.
雪渓から岩に移ると、意外にホールド、スタンスが豊富で、ザイルが岩に触れないほど垂直なのにガンガン登れ、
すぐザイル一杯.ハーケンは1本も打たない.T樫さんもニコニコして上がって来た.そのまま、手の切れるような
リッジを2ピッチ登り、アブミを持っていないので心配していた上部のハングも左から廻り込んで越し、L2は、
たった4ピッチで終った.並行して登るM月パーティと、「おーい、ハーケン打っていいか−」「4枚しか無いから
知らないですよ−」などと、面白い岩攀りが楽しめた.我々の方が早く終ったので、L1の終了点まで見に行く
2パーティが合流し、再び長次郎のコルへ戻って、日の陰った長次郎沢をグリセードで真砂沢ベースへ下山.
2日間の、充実した登攀は、気の合った仲間と一緒で楽しかった.

■8月13日(晴)仙人池往復
剣の最終日は、のんびりと仙人池を往復した.
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68.8.11