09.05.10追記
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私は、実は、飛行機恐怖症なのです.
最初の頃、今は少なくなったがきれいなスチュワーデス(おっと、
今はキャビンアテンダントか!)に会うと、”こんな人なら一緒に
堕ちてもええわ”と、恐怖症など全く無かったのです...が、
<その1>
 昔、ロスからの帰国の時、遥か下の海面を見つつ機内にいる
 自分を自覚し、”あっ、この機体の下はガランド−で、海面まで
 何も無いんだな〜”と思った瞬間 ⇒ 第一回!.
<その2>
 仕事で止むを得ず、沖縄へ3ヶ月に一度通っていた時代.
 羽田を出てすぐ乱気流に遭い、上下左右に揺られる事30分.
 これで...決定的!.

それでも何故か飛行機が好き.

さて、この本の主人公は、初めて機長として年1回の定期査察
を受ける事になった、若い村井.
細かい指摘と鋭いチェックで、同期の連中から恐れられている
査察機長の氏家.
帰りの便で査察を受ける、ベテラン機長の大隈.

この3名が、成田からニューヨークまでの操縦室で織り成す人間
模様を、克明に描き出しております.
専門用語も出て来てよく分からない部分もあるが、これを読むと
私の飛行機恐怖症が若干和らぐのもオカシイ?.
 ⇒そーか、こんなに細心の注意を払って操縦していたのか!.
作者は元ANAの機長だけあって、さすがに臨場感が一杯です.

みんなから恐れられている氏家が、最後に、
*パイロットは、常に自分の腕で操縦したい願望を持っているが、乗客の身になってみれば、
 安全に目的地へ着けばいい.
 いつも、”客室に自分の家族が乗っている”と思って、機を飛ばせる気持ちが大切だと思うのです.


こんな機長の操縦する飛行機なら、乗ってもいい...

作者の内田さんは若くして亡くなられたが、多くの航空機関係の小説を出されている中で、
最後の本になってしまわれたのが惜しい.
切に、ご冥福をお祈りします.


本あれこれ
内田幹樹 著(新潮文庫)
査察機長/他
追:その他の小説
  最初に読んだ”査察機長”があまり面白いので、さらに
  内田さんの書かれた右の3冊と、エッセイ風の、
  =機長からアナウンス=2冊を読んだ.
  どれも操縦席での臨場感溢れる生々しい現実が、良く
  現されていて、一気に読み終えた.
  そして又、山の行き帰りに再度”査察機長”を読んでいる.
  何度読み返しても面白い内容で、新しい発見がある.
  
”国際線機長の生存可能年月は、リタイア後5年”とか.
  話しの真意は別として、それだけ機長の業務は厳しい
  のだろう....内田さんが亡くなったのもその頃か.