08.10.22
港町の、暗い運河の畔に建つ古いアパート”霧笛荘”.
そこに住む、なにやらイワクのある住人達と、管理人の纏足の老女.
=いまどき”纏足”と云っても理解出来る人は少ないだろうね〜=
口は悪いがみんなから慕われている老女が、アパートの室を一つ
一つ案内しながら、その住人達を語っていく.
登場人物を一言で表現するのは難しいが...
・レズバ−で喰っている女
・過去あるホステス
・船乗りの経験も無いのにキャプテンと呼ばれている男
・自殺し損なって迷い込んだ女
・バンドマンを目指して北海道から出て来たが売れない若者
・etc...
”プリズンホテル”に似てはいるが、プリズンの様にスカッとした
面白さは無い.
しかし、いつもながら次郎さんらしい、社会の底辺にひっそりと
生きながらも心の温かい本当の人生の豊かさを示してくれる物語.
本あれこれ
浅田次郎 著(角川文庫)
霧笛荘夜話