サービス員の時代
”爪楊枝”と”竹ひご”のこと
もうそろそろ、この話が出てくるだろうと期待している仲間のみんな.
ソ!、その話.

■爪楊枝について
現場でのIC交換が普通に行われていた時代、”半田ごて”と”糸ハンダ”は、
サービス員には欠かせないツールだった.
別に「ハンダ付け1級」の免状を持っていなくても、みんな1級以上の腕を
持っていたはず.
プリント板の裏と表からICの足を暖めてICを外していく作業は、結構、根気のいる仕事.
しかし、プリント板上のICを外した後、跡に残った”ランド(IC取り付け穴)”を開けておかないと、新しいICが
付けられない.
”ハンダ吸い取り網(名前は忘れた)”や”ハンダ吸引器(これも、名前を忘れた)”が普及する以前は、誰が
考えたのか、”爪楊枝”が効果的だった.
ハンダごてでランドを暖めながら、爪楊枝の先をちょっと当てると、面白い様にランドの穴が開く.
手間は掛かったが、これが一番確実なツールだったから、出張かばんには必携品.
しかし、定期点検などで長期の出張が続くと、どうしても不足する.
よく昼飯を食べに行った川崎のフェリ−乗場の2階の食堂.我々が去った後のテーブルには、ほんの数本の
爪楊枝が申し訳程度に残っていた......と、思う.
ウエートレスさん、ごめんなさい.

■竹ひごについて
出張が長引くと、ホテルに帰ってからのTVが一番の楽しみ.しかし、それには¥が掛かる.
TVの横の金属箱に、¥100/1時間 を投入しなくてはTVが点かないのデス、”一般チャンネル”が!.
しかし、まさか”TV代”を出張請求する訳にもいかない.
みんなで一緒に飯を食っていた夕飯時、ふと見上げた”蛍光灯の傘”で、誰かがひらめいたのです.
そこの”傘”は、竹ひごがリング状になった、しゃれた和風の傘だったのです.
ためしに1本抜いて見ると、太さといい曲がりの角度といいぴったりの代物で、なんと言っても竹だから、
感電する心配が無い(糸ハンダでやろうとして、某市の定宿のブレーカを飛ばし、大目玉を食ったつわものが
居た位ですから).
定宿だったそのホテルへ泊るたびに、その傘からは竹ひごが1本づつ無くなって行きました.

出張のたびそのホテルには泊りましたが、次第に歯抜けになっていくその傘が替らなかったのは、
若しかして、いつも夜遅く疲れて帰ってくる我々への心配りだったのかも分かりません.
ありがとうございました、支配人のS藤さん.
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