設計屋の時代
”プリント板設計”のこと
計算機の設計と言っても、まだ”IC”の出始めで、1つのICにNAND回路が
4個しか入っていない時代でした.これでロジックを組むのですから、
大変な枚数のプリント板を設計する必要があります.
回路の設計が終り、それを何枚かのプリント板に分割して、1枚毎に
プリント板の設計に入ります.

専用ツールなんてありません、みんな手書きです.

A2の紙に、2倍尺で、表、裏、IC位置表示の3枚の実体図を描いて、それが3枚ともピッタリ合わないと、
出来た時、ICの穴が合わず部品が取り付けられません.オマケに、プリント板の裏面は”逆”に書かないと
合わないのです.スリガラスの裏に蛍光灯が点いて透視の出来る、トレース板状の箱を使って裏から
光を当て、出来上がった3枚の絵を重ね合わせて位置あわせしチェックするのです.
随分、原始的な方法ですが、一番実用的でした.
これを同じ様にみんながやって、1年がかりで基本設計が終わります.

この頃は製造部が力を持っており、その中でも特にN島係長は絶対の権限を持っていましたから、出来上がった
プリント板の設計図を持って行く時は、ビクビクものでした.
机の上に3枚の絵を載せ、じっと眺めているN島係長の傍でOKの出るのを待っていると、自分が尋問されている
様な気がしたものです.

私が入社して最初に描いた設計図を持って行った時、「君は、何者だ!」と言われたのも、このN島係長でした.
...配属時、挨拶しに行くのを忘れていたのです!.

しばらくして山岳部の会合でばったり会い、先輩/後輩の間柄と分かってからは、”ま、しょうがねぇな−”と、
随分、無理を聞いて貰える様になりましたが.....
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