設計屋の時代
”神様”の住む計算機
担当していた”Y5”という計算機には”神様”が住んでいた.

工場の制御用計算機なので、停止すると工場の操業がストップする.
そのため、計算機本体の”CPU”が「2重化」されていた.

CPUが常に”二つ動いている”のである.

しかし、二つ動いていては、”どっちが正しいの?”という事になる.
このため、計算機の中に”神様”が居て、常に二つの動きを監視しており、
間違った動きをすると、”あんたはダメよ!”と、切り離しをされた.

計算機が動く時には、何はともあれ、まず.....
    ・命令を取り出す「Fetch」サイクル
から始まり、
    ・命令の2語目がある場合は「Defer」サイクル、「Index」サイクルと続き、
    ・命令を実行する「Execute」サイクル
で、1つの命令が終るのだが、この計算機には「Fetch」の次に、
    ・「Check」
というサイクルがあり、ここで”神様”が登場した.

”神様”は、「Fetch」を含めた「Defer」以下の動きを全て”ご存知”で、いちいちチェックをされており、
間違った動きをすると、”あんたはダメよ”と切り離される.
これは、もう「否応無し!」に行われるので、間違った方は「ヘイ、スミマセン!」と黙ってしまい、元気な
方が働き続ける事になる.
それだけに”神様”の存在は重要で、神様が居られる領域には、侵害されない様に厳重な鍵が掛かっていた.
(2重化そのもののチェックをする時に”神様”が出て来て頂くと邪魔なので、「スミマセン!.チェックは
やめて下さい」のスイッチも付いていたが)

その後の計算機は、完全に2重化されて神様も存在しなくなったが....面白い計算機であった.
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