サービス員の時代
”運び屋”のこと
当時の磁気ドラムは、二人掛かりでやっと持ち上げられる重さの代物でした.

ある時、知多の客先でドラムエラーが頻発し、客先へ運ばなくてはならなくなり
ました.赤帽なんて便利な時代では無く、運送屋に頼むと、2日掛かります.
まして超精密なドラムの事、震動を与えない様慎重に運ばなくてはなりません.
T内と二人で、会社の出荷係に頼んで吊り梱包して貰い、サービス車に載せて知多まで運びました.
東名高速に乗り、1時間交代でサービス車を運転しながら、陸橋を渡る時のガタン、ゴトンには、思わず
自分のお尻を浮かせつつ、やっと客先に着いた時は気疲れでグッタリ!.

重いドラムを車から降ろして交換し、客先が取って置いてくれたバックアップテープでシステム復元した
後は、なんとも言えない満足感と倦怠感が入り混じり、二人して、お客の入れてくれたお茶を手に
計算機室の床にヘタリ込んだものです.
この日はさすがに日帰り出来ず、不良ドラムを車に積んだまま、名古屋駅前の定宿に泊りました...

<余談>
 ・この磁気ドラムは数年毎に”グリスUP”が必要でした.
  精密デバイス対応とは思えない、車に使うのと全く同じ形状のグリスガンにメーカ−の純正グリスを
  充填して客先へ持って行き、現地でグリスUPするのです.
  これがまた気を使う仕事!.

  ドラムを回転させながら、モータに付けた電流計の指示が規定値を越えない様少しづつグリスを
  注入して行くのです(密閉式なので、押し出された古いグリスは、内部のグリス溜めへ).
  グリスが入っていくとドラムの回転音がキィ〜ィ〜ンと高くなり、安定してくると音も静かになるので
  また少しレバ−を押して注入してと、本当に気の疲れる仕事でした.
  柄の長いドライバ−の先っぽをドラムの上部に当て、グリスが充填されていくベアリングの摩擦音
  を聞きながら、グリスUPした時も....

  全国のサービス拠点にメーカの資料から作ったマニュアルを配布したものの、やっぱり誰もグリス
  UPするのが恐い!.
  自分も含め、殆んど本社の仲間達が出張して、作業していました.
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