サービスセンターの時代
原発の炉心の底にもぐる
原発の炉心の底にもぐったのは、後にも先にも初めての経験でした.

建設中だった原発に技術者を派遣していたので、月一回は派遣元の責任者の
「安全巡視」が必要だったのです.
一緒に行ったのは、山の仲間で”北鎌尾根”を一緒に登ったHさん.
羽田空港で落合い、丁度、昼時だったので空港のロビーの椅子に座って二人で
駅弁を食ってから機上の人となりました.
空港からは、延々2時間半バスに揺られてやっと現場近くの宿舎に着いたのは
夜も更けていました.
翌日、現場事務所に着くと、派遣していたW田君と、現場責任者のK子に会い、一緒に現場へ向かいました.
K子は、これまた”三ッ峠のコーモリ沢”を一緒に登った男で、期せずして、山の仲間が三人揃った訳です.

W田君の案内で、原発特有の重い扉を幾つも通り、作業中の計器室や、配線工事中の端子盤をつぶさに見て
から、最後に炉心へもぐりました.
そこまでたどり着くには、狭い足場を幾つもくぐっていかなければなりませんが、”じょうろの底”みたいな極端に
狭い場所が、炉心の底でした.
W田君に「F井さん、それが炉心ですよ」と指さされて頭の上を見ると、鈍い銀色をした大砲の先っちょみたいな
ものが突き出ていて、それが炉心の底でした.

     >  動き出してここに居たらどうなるの?
     >>さぁ、どうなるんでしょうねぇ.......

しばらくは、初めて見る原発の炉心の底に見とれていました.......

W田君は寒い土地に奥さんを連れ、工事が終るまでの長期間頑張り、無事工事を終えて帰って来た時には、
本当に”ご苦労様”の気持で一杯でした.
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