サービス員の時代
”SW1ヶ”で夜中、走る!
サービスカーで、夜中の、しかも、休日の東名を走っていた.

助手席のM山は、小金井の独身寮から呼び出した入社2年目の男.
(同じ苗字のM山も居るが、千葉へ定期点検に行っているので、
 連鎖反応的に、もう一人のM山を呼び出した)

夜中の東名は長距離トラックが多く、追い越し路線をビュンビュン通り
過ぎて、風圧が凄い.
こっちも同じぐらい飛ばしたいが、シンクロや交換用カードを積んでいる上、
なにしろ、会社の看板を背負ったサービス車なので飛ばせない.
環八の用賀から東名に入って1時間.”大井松田”で東名を下りる.

客先は、Y1を沢山使って頂いている某社.
担当者からの緊急コールで、
    「”工程”が○○に入ると、DRUM領域のプロテクトエラ−になるんですが!...」
で、呼び出されて来た.
実は、こんなトラブルが一番、厄介!.ソフト、ハードの両方ともアヤシイ.
担当者に最近の様子を聞いても、特に変わった事をしていないらしい.

東名を下りて、通い慣れた田圃道を走り、街灯の寂しい町に出て、客先の裏門へ廻る.
守衛さんに話すと、すぐ待機していた担当者が飛んで来た.時間は既に、11時半をまわっている.
今日ばかりは、サービス車を工場の入り口まで着けさせて頂く(普通は、守衛さんの指示で、
工場外の”業者駐車場”へ廻される).

気が急いて、器材の搬入を後回しにし、計算機室へ.
なるほど、タイプライタには何度も「DRUM領域でプロテクトエラ−」が出ていた.しかし、プロコンの
割り込みランプは正常にチカチカしてる(大体、このランプの”チカチカ具合”で異常かどうかの
判断が付く).やっぱり道々、M山と会話して来た様に「メモリプロテクト」関係のプリント板を替えて
見るしか手は無いか!....
担当者と、システムを停止する為の打合せを始める.
変なタイミングでシステムを止めると、それまでの製品がパーになるので担当者がオペレータに
相談に行く.
ようやくOKが出て、計算機のストップボタンを押そうとした時、
ソフト屋の残したマニュアルを調べていたM山が、相変わらずの、のんびりした声で...
    「F井さん、このプロテクトSW、OFFと違います〜?」
えっ、そんな!っと、焦ってパネルを見ると、横8個並んだ設定SWの内1個だけが確かにON.
    「ん!、設定が違ってる!.なんだこりゃ」
と、担当者も自分も、思わず異口同音に.
しかし、何度見直しても、確かに設定が変わっている!.

結局、このSW様が、”勝手に”ONになっていたのが原因と判明.
OFFにしてプロテクトエラ−は解消し、工程は正常に戻った.
    「F井さん、電話で言ってくれたら良かったのに〜」
と、担当者から言われたが後の祭り!.
この際、”どうして、SW様がONになっていたか”の原因糾明は、お互い痛くも無い腹を探る事になる
ので無し.サービスレポートに事実だけ書いて担当者のサインを貰い、一件落着.

来た時と同じ器材を積んだままのサービスカ−で午前0時を過ぎた東名に乗り、いつも寄る”中井PA”
で眠気覚ましの缶コーヒ−を飲みながら......

俺も、ベテランサービス員と自負してたが......まだまだだな−と反省!.
TOP I BACK