終業のチャイムと共に会社から飛び出し、今回の
パ−トナ−であるT葉さんの車に飛び乗った.5時間の
ドライブで、一の倉沢出合いまで行き、シュラフだけ
持って無人の小屋に入る.小雨が降っていて、明日の
天気が気になった.

目を覚ますと、昨日は誰も居なかった小屋は人で一杯.
車に戻って準備し、幽の沢までブラブラ行く.幸いにして
雨は止んでいるが、水溜りがあちこちにあり、クレッター
シューズを濡らすのが嫌なので、跳んでいく.
出合いに着くと、意外に水流が少なくてホッとした.
適当に沢の中を登って行ったら、道を間違えて垂直の
潅木帯を登らされるハメになり、一の倉から派生して
いる小尾根を一つ越えて、やっと二俣に下る.右俣に
入る頃、やっと天気が良くなって来た.雪崩で、すり鉢
の底の様な形に磨き上げられたツルツルのスラブが
目の前からせりあがっている.
カールボーデンだ.

幽の沢/V字状岩壁右ルート

山の日記
幽の沢/V字状岩壁右ルートの全景
幽の沢/V字状岩壁右ルートは、ぜひ登りたい
壁のひとつでした. 9月の記録です.
広大なスラブを前にして、旨い朝食を食ってから、30度位の斜度を持ったカールボーデンを、20分位適当に登る.
クレッターのフリクションが余り期待出来ない程、スラブが立ち上がって来た頃、右手にV字状岩壁の
アタックテラス、A・Tが見えて来た.濡れたスラブを慎重にトラバースして、一旦、右俣に入り、2m程登ると、
南稜テラスの様なA・Tに着く.
ここで、また少し食べて登攀の準備をする.T葉さんが、あっさりTOPを譲ってくれ、トラバースで始まる1ピッチ目に
入った.出だしはアンダーホールドで、真横に5m程トラバースしV字状岩壁の底へ入って行く.ザイル一杯でT葉
さんを迎え、ツルベ式に彼は2ピッチ目に入る.2ピッチ目からは頭上のカンテへ登って行く.所々、残置ハーケン
があって改めて打つ必要も無い.3ピッチ目でハング下を左にトラバースし、小テラスでTOPを交代.足を乗せる
のが精一杯のテラスなので、思い切り体を岩に倒してT葉さんを避け、彼は4ピッチ目へ.カンテから左の濡れた
ルンゼに入り、登りながら右に廻り込んで広いテラスへ.ここは濡れている上、高度感もあって、かなり悪い.
5ピッチ目、凹状から左のフェースに移る所が難しく何度も足を踏みかえる.途中にハーケンを打って無いので、ここ
から落ちたら、さぞ痛いだろうなぁと思いながら、やっと体重が乗りフェースに移れた.いいテラスがあるのに休まず
馬の背状のリッジを辿り、チムニ−下まで来たらザイル一杯で仕方なく元のテラスに戻った.
大休止して、中央壁の草藪を眺める.このテラスで、V字状岩壁右ルートの核心部は終了した.
6ピッチ目はきたないチムニ−を登り、急な草付きをザイル一杯/3ピッチで、終了点のシャクナゲの繁った台地に
出た.握手して、ザックの中の食料を全部平らげ、9ピッチ、実質1時間半のV字状岩壁右ルートを終了した.

帰りは、中芝新道を下り、また道を間違って、少し藪こぎをさせられ旧道に出た.

追加:翌日は、烏帽子奥壁へ行く予定だったが雨でダメ.それではと、高崎山、赤城山を連続登山(車で!)、
    吉見百穴も見て、帰った.....


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