真砂沢での4日間の合宿後、5日掛けて、
烏帽子岳まで縦走した.
メンバ−:O野、T橋、O熊、F井

■8月14日(晴)剣〜立山〜五色ヶ原
5日分の装備、食料で詰まったザックを背負い
みんなに見送られて早朝の剣沢を登る.
剣沢小屋の所から直登し真砂沢岳に出て
いよいよ稜線歩きが始まった.
人の多い立山で少し休み、一の越を過ぎると、
途端に静かになる.縦走路は、竜王岳のすそを
巻いているが、ガスが湧いてきて見通しが悪い.
ザラ峠を下って、五色ヶ原に登り返す頃から合宿
の疲れが出てピッチが落ち始めたが、広大な
草原と小川の流れる五色ヶ原に出て、疲れも吹き
飛んだ.水場近くに5人用テントを張る.

剣岳から烏帽子岳縦走

山の日記
剣岳での夏山合宿終了後、後立山の
烏帽子岳まで縦走した記録です.
■8月15日(晴)五色ヶ原〜薬師〜太郎兵衛平
今日は薬師を越える日だ.朝2時30分に三人をたたき起こし、朝食も摂らずに五色ヶ原を出る.
外は真っ暗で懐中電灯の光を頼りに歩く.
トビ山を越えるあたりで、朝食のパンをかじる.越中沢岳を露に濡れながら登り、スゴ乗越へ岩混じりの急降下.
長い薬師の登りに入る.
間山直下の雪渓で水を取れる筈だったが、ゴミが一杯でダメ、五色ヶ原から汲んで来た水を飲む.後はただ長い
縦走路を辿る.この稜線は左に薬師の大カールが見え、展望の良い所だが、ガスで何も見えず.
北薬師を過ぎ、最後の登りを頑張って、やっと薬師岳に到着.時刻は午後3時過ぎ.雷が鳴り出したので、昨年の
穂高を思い出し、早々に太郎兵衛平の幕営地まで飛ばした.丸1日登りっぱなしで、薬師は本当に大きい山
だった.太郎兵衛平の幕営地でテントを張り終えた頃、もの凄い雷雨となり、バリバリ頭上で雷が鳴る.
O野と二人で、パンツ一つになり、テントの排水溝修理に飛び出した.

■8月16日(快晴)太郎兵衛平〜黒部五郎〜三俣蓮華
今日も早く出る.全員快調なので一安心.広い草原を上の岳へ向かう.上の岳から、黒部五郎、三俣蓮華、
鷲羽と左回りに稜線が続いているのが良く見え、今日の泊まり場 三俣蓮華山荘の赤い屋根がすぐ傍だ.
しかし、あそこまで丸一日掛かるので、気を引き締める.上の岳を越え、少し下がってだらだらした丘の様な
稜線を行く.黒部五郎の肩へ着き、まっすぐカールの底へ下る.冷たく澄んだ小川が流れ、緑色の絨毯の様な
草原がゆるい勾配で広がっていて、素晴らしい所だった.黒部乗っ越しから、樹林帯の急登が始まる.
ドロドロの道で、何度と無く滑りながら這い上がり、やっとの事で三俣蓮華のトラバースルートへ入る.
今日も一日、雷雲を気にしながら歩いた.三俣蓮華の頂上に着くと夕方だった.硫黄尾根が夕日に照らされて
不気味に赤く染まっている.
槍や笠や、昨日越えてきた薬師を見ていると、レンズ雲が出ており、雲行きも
おかしい.剣からずーっと天気図を取っては来たが、夜10時の天気図で台風の急接近を知った.
ここからだと、1日停滞しただけでは、どうにもならない.最も近いエスケープルートは伊藤新道だが、沢沿い
の道で増水したら、ひとたまりも無い.夜になると、雨がぱらぱら降ってきた.

■8月17日(曇−強風雨)三俣蓮華〜鷲羽〜野口五郎〜三ッ岳〜烏帽子
天気が気になり朝早く起きたが、雨は降っていない.風は強いが行く事にして全員に雨具をすぐ出せる様に言い
出発する.鷲羽の登りでかなり吹かれる.周りはまったく見えない.水晶岳への平坦な道で遂に雨が降って来た.
壊れかけた水晶岳の小屋を左に見て、細いリッジ状の岩稜地帯に入る.
土砂降りの冷たい雨になる.風が強くてポンチョが捲れ上がり、容赦なく体温を奪う.岩場の登下降を繰り返し
ながら、休むたびに全員の様子を見るが、元気一杯で安心.昨夜の天気図では、台風の中心が若干ずれる予想
なので、今少しの辛抱.頻繁に昼食をとり空腹にならない様、気を付ける.
野口五郎の小屋がガスの中に現れたので、一時避難し嵐の通過を待つ.
風が少し収まって来たので出発したが、三ッ岳への長い稜線で今度は雷が鳴り出した.止む無く、また30分位
這い松の中へ避難した後、三ッ岳を越え、烏帽子小屋の手前に幕営.
春来た時は雪が詰まって平坦だったが、今は池になっており、その違いに驚かされた.
明日は下山、烏帽子小屋でビールを買い、ささやかにコンパをやる.

■8月18日(快晴)烏帽子〜ブナ立〜濁小屋〜葛温泉〜帰京
昨夜はシュラフが濡れていて良く寝られなかったので、体がだるい.ブナ立の分岐にザックを置いて、烏帽子岳
を往復する.頂上の一人だけ立てる岩には、アンザイレンして一人ずつ立ち、記念写真
ブナ立は何度来てもうんざりするほどの下り.沢音が近くなると、濁小屋も近い.
やっとの事で河原に出、しばらく歩いて濁小屋.
合宿から数えて、今日で9日目.
交代で、9日間剃らなかったヒゲだらけの顔の近接写真を撮り、軌道へ出て葛温泉に向かった.
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68.8.14