U松に誘われて、1年ぶりに水無川へ入る.今回は、
本谷周辺の沢を登りながら、最後は勘七沢を下降する
計画だ.相変わらず、昨夜の内に本谷の出合いまで
歩いて来て仮眠.本谷のF1下でワラジを履く.
F1をサッサと済ませ、迷う事なくセドノ沢に入る.

■セドノ沢右俣
冬は雪が付いていて陰惨なムードだったセドノ沢右俣
の大滝も、今日は、なんとなく取り付き易い感じ.
2人なので、1ピッチで30mザイルを伸ばし、落口へ
出るトラバースバンドまで行く.ワラジを履いている為
か、フリクションが実に良く効き、ほとんどフェース
ばかり通って、バンドの入り口まで.フェースが得意な
U松は、殆んど足の裏全部が見える程、小さなスタンス
を使い、ヒラリヒラリと登る.

水無川本谷周辺〜勘七沢 下降

山の日記
沖源次郎沢 F1
6月、水無川の本谷周辺を登り、勘七沢を
下降した”1日”の記録です.

本谷、セドノ沢右俣、沖源次郎沢、勘七沢(下降)
ザイルはすぐ30m一杯.大テラス上のハーケンにカラビナを掛けた為か、ザイルがクの字に曲がって
流れが悪い.落口への悪いバンドも、壁に両手をぴったり付けて、例のプッシュホールドを使い、
スムースにトラバース終了.
すぐ、2回のアップザイレンで取り付きに下降し、本谷へ戻った.
気心の知れた2人なので、別パーティの様にそれぞれ好きなルートを取って5つの滝を通過し、沖源次郎沢の
出合へ.ここは完全な枯沢になっていて、岩登りのトレーニング場となってしまっていた.

■沖源次郎沢
岩登りの連中は、F1に群がっている.F1とF2の二段で40mあるこの出合いの滝は、岩登りのゲレンデ化して
いる様だ.ワラジのままで40m、ハーケンも打たず、ほとんど岩壁の中央を登ったが、落口が少しハングしている
ので左に逃げて、終了.この先は余り面白くないと聞いていたので、F2落口に打ってあったハーケンを支点に、
2回のアップザイレンで出合いまで下り、水無本谷へ戻った.

■本谷
本谷の2つの滝を登って、F9の大滝へ.冬は左側のクラック状を登れたのだが、崩壊が進んでザレた砂の壁.
とても登れる状態ではなく、左岸に入っているルンゼをたどり、大きく高まく.
つめのガレ場を登って、稜線へ出る前に最後の水場で水を補給し、稜線に出て塔の岳へ行くと、ここは一杯の
人の山.早々に大倉尾根へ下った.まだ、勘七沢の下降があるので、気が焦る.
冬は凍結していて苦労した登山道も、今日は良く乾いており、快調に花立付近まで下って一休み.
どこから勘七沢へ下ろうかと、二人でルートハンディングしたが、見ていても良く分からない.まあ、適当に行って
見ようやと言う事になり、下降を始めた.

■勘七沢の下降
イバラの藪をヒイヒイ言ってくぐり抜けて行くと、枯れた沢になり、ワラジが一杯捨ててある.大体、下降ルートは
正しかった様だ.勘七沢に出た所で、本谷から持って来た、くたびれ果てたワラジを着ける.
上から下りて行くので、今下りている滝が幾つ目なのかさっぱり分からないまま、ドンドン下降.
堰堤が出て来た所で、ようやく現在地点の確認は出来たが、U松とは離れ離れのままである.
二人共、好き勝手なルートを取って下りているので、お互いが何処に居るのかもさっぱり分からないし、大声で
呼んでも、滝の音に消されて通じない.結局、合流したのは、勘七沢の堰堤付近だった.
出合いの立派な登山訓練所前で大休止し、ワラジを脱いで、ぐっしょり濡れたズボンを絞り、ようやく人心地が
付いてから、四十八瀬川に沿った林道を小走りに大倉へ戻った.

長い林道を歩きながら、U松に習った歌は”山への祈り”......
なかなかU松の注文通りに歌えず、ようやくOKが出たのは大倉近く、1時間も歩いた頃だった.
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68.6.9