この夏合宿は6年ぶりの剣岳で、参加者14名中、前回の
合宿に出ているのは自分一人.
自由な行動は取れないので、M本と二人で先発し、先に
好きな所を登ってしまう事にした.

■8月1日(快晴)黒部ダム〜ハシゴ段乗っ越し〜真砂沢
黒四ダムの底から黒部川を下って、内蔵助平経由、ベース
予定地の真砂沢に4人用テントを張る.合宿用の我々
負担分と、先発隊としての3日分装備、食料でザックは
膨れ上がり、最後のハシゴ段乗越しは這う様にして越えた.
ハシゴ段乗越しから見る今年の剣沢は異常に雪が多く、
テントは雪渓の上にしか張れなかった.

南壁A2〜チンネ中央チムニ−

山の日記
夏山合宿で、剣岳南壁からチンネを
連続登攀した時の記録です.
南壁A2の登攀
■8月2日(快晴)真砂沢〜南壁A2〜剣岳〜三の窓
不要な物をテントに残し、2日分の食料、登攀具、ビバーク用具をザックに詰め剣沢を登る.
平蔵谷の出合いでアイゼンをつけ一歩一歩、スプーンカットの雪渓を行く.昨日の疲れが残っており、
出合いから3時間掛かって、やっと南壁の基部着.
剣岳南壁は、A1〜A4までのルートがあり、A4は別山尾根の一般ルート

A1は登っているので、今回はA2を登る.
先行パーティが、軽装でスルスル登っていくのを羨ましく感じながら、取り付きの雪渓で登攀具を付ける.
シュルンドを渡り、フェース状をザイル一杯伸ばす.1,2ピッチ共、若干、リッジ気味のフェースで、平蔵谷を眼下に
見ながらの、高度感のある登攀.3ピッチ目がA2の核心部で、チムニ−状の岩の中間から右のリッジへ腕力で
乗っ越し、直上.高度感は凄いが、ハーケンがベタ打ちしてある.ここからA2は、全体が大きな稜になってきて、
ルートは稜の右側壁を回り込む様になる.この辺は、ピッチグレードで3級ぐらいか.
重いザックに悩まされながら、終了点まで6ピッチ/2時間でA2を終わり、ザイルを巻いて剣岳の頂上へ歩く.
二人ともすっかりバテて、予定では八つ峰の所、そんな気は全く無くなり三ノ窓へ直行した.
三ノ窓には、午後一時着.随分早いがツエルトを張る.
初めて登るチンネが気になり、基部まで偵察に行ってから、後はツエルトでゴロゴロした.

■8月3日(快晴)三の窓〜チンネ中央チムニ−〜三の窓
レビファ様の忠告通り、”重量は最大の敵”とばかりに最小限の登攀具だけ持ってチンネの取り付きへ.
基部までは、三ノ窓雪渓を大きくトラバースしなくてはならないが、ピッケルもビバーク地に残す.
基部の雪渓を少し登って、階段状の岩場を30m登ると中央チムニ−の取り付き.先行パーティが6人居て、
2時間、待たされる.
M本がTOPで、チムニ−には入らず右のリッペを登る.右に振られる様な所もあるが、概してホールド、スタンス
共に豊富で残置ハーケンもいたる所にあり、3級位か?.ザイル一杯2ピッチで、中央バンド着.
全体に外傾しているが、かなり広くてテントが張れそうな感じ.ここから、Aバンド、bクラックに向かう.
Aバンドは、中央バンドへ出てすぐ右側にある顕著なピナクルから取り付く.又又先行パーティが居て1時間待た
される.バンド自体は15mで終るが、足幅位の、少し右へ斜上するこのバンドは、トラバース中、足元からストン
と三ノ窓雪渓に落ちており、高度感が凄い!.Aバンドが終る少し手前から、bクラックが直上している.
bクラックは、最初は広いクラックで両足が入る様な感じだが、途中からフェースになり、右上がりに登って行く.
2ピッチ半で、bフェースが終わり待望のチンネ頂上へ.
基部から5ピッチ半、実質1時間半の登攀だった.終了点で感激の握手.昨日も今日も、M本が全ピッチTOP.
頼もしい男に成長したものだ.
チンネ頂上からクラックを降りて池ノ谷ガリーへ下り、三ノ窓のツエルトへ戻った

岩もガッチリしていて、チンネは素晴らしい所だった.....

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