赤石岳周辺での合宿が終了した次の週で、少し
のんびりしたい気分だったが、N田さんに誘われ、
K木も行くと言うので3人で出掛けた.
メンバー:N田さん、K木、F井
■1月15日(晴)渋の湯〜黒百合平〜天狗〜夏沢峠
夜行で来た日に登るのはつらい.
渋の湯に7時30分着.積雪は腰ぐらいある.
渋の湯から、沢伝いに登り始める.トレースはあるが
寒い.坂を登り切った所で買ってきた駅弁を開けると
見ている前で米粒がザクザクに凍ってしまった.
しばらく平坦な道を進むと、樹林帯に入り少し急になる.
沢状になって黒百合平.
気分のいい所だが、我々は先が長いので、中山峠に
出て、稜線通しに天狗岳へ.大きな岩が稜線に飛び出し
、左側はスッパリと切れ落ちた稜線を行く.
登山者の居ない天狗の頂上で一休み.
エビのシッポが付いた指導標を越え、根石岳を過ぎると
樹林帯に入る.さすがに縦走者がいなく、トレースが
かすかにあるだけ.午後2時30分、夏沢峠着.

黒百合平〜赤岳(冬)

山の日記
”黒百合平”にて
1月に黒百合平から八ヶ岳を縦走した
記録です.
夏はきっと賑やかだろうが、今は、うすら寂しい無人の「山びこ荘」に入る.雪が吹き込んで土間の上に、
少し雪が積もっている.小屋の中にテントを張らせて貰う.
■1月16日(晴)夏沢峠〜硫黄岳〜横岳〜赤岳〜行者小屋
3時半に起きたが、今日は赤岳までだからと6時頃まで食ったり、横になったり、ゴロゴロする.
硫黄岳の登りはきつかった.ラッセルしながら、時々、左側のすさまじく切れ落ちた硫黄岳の崖を覗き込む.
後を見ると、昨日、越えてきた天狗岳、稲子岳、遠くには浅間山が白く光っていた.
硫黄岳の頂上は、だだっ広い雪原で、横岳から赤岳、阿弥陀岳が夫々独立峰の様に、真っ白なカーブを
描いてそそり立っていて、その眺めの良さに感激する.さすがにこの辺まで来ると人が多くなる.横岳の石室
付近でT葉さんに会う.見上げるような横岳の雪稜を登り頂上に出ると、いよいよここから、横岳のトラバース.
佐久側、諏訪側と、細いバンドを右に左に岩の間をトラバースして行く.時々、カニみたいに横這いにならないと
通過できない所がある.鎖は凍り付いていて助けにならない.
会社の番場さん兄弟が遭難された斜上トラバース地点は、特に注意して通過し、トラバースが終った所で
供物を捧げ、黙祷した.
ザイテングラードの分岐にザックを置いて、赤岳を往復.赤岳のコルから振り返ると、さっき通ってきた横岳が
良く見えた.
コルから20分位で赤岳の頂上.少し積層雲が出始めて、天候悪化の兆しが見える.
行者小屋まで降りて、横岳が正面に見える場所にテントを張る
まだ午後1時半、後はトランプなどやって過ごす.急に高度を下げたせいか、N田さんは頭が痛いと余り
食べずにシュラフに入っていた.気温は−13℃.

■1月17日(吹雪)行者小屋〜阿弥陀岳(往復)〜美濃戸〜帰京
風がゴウゴウ鳴って、地吹雪.小屋に寄ってから阿弥陀岳へ向かう.
中岳のコルへ上がり、阿弥陀岳頂上へ.湿雪のためか、顔に雪が張り付いて濡れ、それがすぐ凍り付いて
バリバリになる.写真だけ撮って、すぐ下山.中岳のコルから、順番に1分間隔で尻セード.あっと言う間に
行者小屋へ着く.往きに”ご一緒出来るかな”と思った女性パーティは赤岳へ去ったが、途中で引き返して
きたらしく、一緒になった.
テントを撤収し、10時に出発.1時間で美濃戸に着くと、いつの間にか晴れて、登って来た阿弥陀岳が
マッターホルンの様に、聳えていた.

帰京した翌日、自分の鼻は凍傷にやられて黒くなっていた.
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66.1.15