夏の合宿は、聖岳から易老岳まで、5日間の
縦走だった.この頃、登山者が割合少ない
南アルプスの南部は、部の仲間でもちょっと
したブームになっていた.
メンバ−:N村、T樫、F沢、S島、F井、他1名

■7月31日(晴)平岡〜梨元
豊橋から飯田線に乗り、平岡で下車、バスで
梨元に夜9時半着.
大きなクルミの木の下で寝る.
聖の北尾根へ行くM月さんの4人パーティも
一緒だ.
東京では見られない星空で、久し振りにふる里
の空を想い出した.

聖岳〜易老岳

山の日記
上河内岳稜線からの 聖岳
山岳部に入って、初めての夏山は、
聖岳から易老岳までの縦走でした.
■8月1日(晴)梨元〜北又渡〜西沢渡
森林鉄道の終点、梨元から、軌道の枕木を見ながら歩く.西沢渡まで約20km.M月パーティが先に出て、我々は
6時過ぎに出発.今日一日、枕木と睨めっこかと覚悟していたら、軌道車が上がって来て、荷物だけなら運んで
くれるとの有り難い話.北又渡までお願いする.なにか拍子抜けの感じでブラブラ行くと、8km地点でM月さんの
パーティに追い付いた.彼らは5km地点で軌道車にあったが、我々の荷物が一杯で乗せて貰えなかったとの事.
北又渡まで、彼らのザックをボッカする.北又渡でM月パーティと別れ、再び自分のザックを背負って西沢渡には
12時着.
軌道車のおかげで随分早く着いたため、テントを張ったら自由時間.S島は、冷い沢で泳いでいた.

■8月2日(晴)西沢渡〜聖平〜小聖岳〜聖岳/往復〜聖平幕営地
西沢渡を6時に出る.出だしから樹林帯の中、展望の全く無い、きつい登り.稜線近くなって、やっと聖が見えた.
3時間半掛かって、やっと明るい聖平へ飛び出す.荷物を聖平小屋の分岐に置き、聖を往復する.
途中の水場へ行ったら、思いがけなく黒百合が咲いていた.
小聖岳を越え、どっしりとした聖岳のガレ場を登ると、小広い聖岳の頂上.正面に赤石岳が素晴らしい
写真を撮りすぐ下山.分岐でザックを背負い聖平の小屋へ駆け下りた.
聖平幕営地には5、6張りのテントが並んでいる.テントを設営した後は自由時間.
S島が「F井さん、ちょっと写真撮りに行かないか」と誘うので、F沢さんも誘って来るとき見たニッコウキスゲの群落
へ行く(写真を撮る代わりに、S島の隠し持って来たウイスキーでの乾杯となった).

■8月3日(快晴)聖平幕営地〜上河内岳〜茶臼小屋分岐〜易老岳、仁田岳/往復〜茶臼小屋分岐〜茶臼小屋
6時に聖平幕営地を出て、上河内岳の登りに入る.登りは結構急だが、時々後を振り返ると、特徴のある聖の台形
の山容がしだいにせりあがって来て、朝日に照らされた姿は”やっぱり南アルプスだ”と感じさせられた.
上河内岳は二重山稜、稜線の左側がコルになり、ぐんとせりあがる様に本当の上河内岳の頂上がある.
頂上を往復して”お花畑”と名付けられている広大な草原に下った.ここには天然記念物に指定されている”雪島”が
ある.亀の甲状に土が盛り上っている珍しい地形だ.
茶臼小屋の分岐にザックを置き、易老岳を往復する.
茶臼岳をまき、茶色に濁った仁田池を通って樹林帯の中を小走りに易老岳へ向かう.
しかし、行けども行けども樹林の中.倒木をくぐったり、ピークとも言えない様な小山を幾つも過ぎ、これが頂上かと
思うような所が頂上だった.林の中に「易老岳」と書かれた板があるだけ.
すぐバックして、帰りがけに登山道から往復30分離れた仁田岳へ行く.仁田岳の頂上付近ではカモシカを見た.
曇ってきたので、急いで茶臼小屋の分岐に戻り、稜線からかなり下りた茶臼小屋の前にテントを張った.

■8月4日(快晴)茶臼小屋〜畑薙ダム〜静岡〜帰京
今日は下山の日だ.朝早く写真を撮るため稜線まで往復した.富士山が長い裾野を引いて素晴らしかった.
茶臼小屋の前で、丁度通りかかった登山者に記念写真を撮って貰い、下りにかかる.
小屋からは、くだりに下る.これで、今日まで我慢して来た”背中のマメ”が一層大きくなった.ザックと背中が擦れて
出来た様だ.みんな、足にマメが出来ているのに、なぜ自分だけは背中に出来るんだろう.....
畑薙ダムの長大な吊橋を渡り、ダムに出ると、茶臼小屋から4時間半かかっていた.
ダムからは、延々3時間半もバスに揺られて静岡に着き、東海道線で帰京した.

初めて行った南アルプス南部は、本当に深くて、でかい山域だった.
この山行で出来た背中のマメもでかく、しばらくは風呂にも入れなかった.
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65.7.31