7時20分、犬麦谷出会いでワラジに替え、登攀
具を付けて沢に入る.同行は、T村さん.
犬麦谷の出合いは、流木が重なり合って沢を埋
め、上流に奥多摩随一の「タツマノ大滝」がある
とは、とても思えない所だ.
流木を越えて出合いの滝を過ぎると、しばらくは
ゴーロ状で歩きにくいが、やがて沢は左に曲が
り、薄暗い廊下状になる.

犬麦谷

山の日記
タツマノ大滝
犬麦谷には、奥多摩随一の高さを誇る
「タツマノ大滝」があり、その点でも魅力
のある沢の一つです.これは、初秋に
犬麦谷を遡行した記録です.
8時過ぎにノーザイルのままタツマノ大滝下段を登り、シャワーの様に水を噴出している上段の滝下に出た.
今回は、この滝に新ルートを開拓する予定で来たので、いつも以上のハーケンをぶら下げ、T村さんが
右のスラブ状に取り付く.


スルスルとザイルが伸び、調子いいなと思っていると、完全な水の流れるスラブに行き詰まって、ハーケンを打つ
音が聞こえザイルが伸びなくなった.いいリスが無いらしく、何度も踏み替えしているT村さんのワラジの裏が全部
見える.ほんのつま先が掛かっているだけの微妙なバランスで立っているらしく、ザイルがユラユラ揺れている.
やがて諦めたのか右に逃げ、頭の上を通ってアップザイレンして来た.

TOPを代わってもらい、通常ルートに取り付く(昨年の夏の強化合宿で一度来ているので、少しは楽!)
滝心を右に見ながら凹角状を10m直上し、途中の潅木にカラビナを掛けて右にトラバースすると、すぐ右足を流水
中の切って取ったようなスタンスに掛ける.右手を一杯に伸ばして流水中の残置ハーケンに1番目のアブミをセット.
それに移って、さらに左の岩壁に一列に打たれているハーケンを伝う.ザイルがいくつもカラビナを通っているので流
れが悪く、左手で引っ張ったり、口に咥えたりして登っている内に、バランスを保てなくなり、荒い息と共にアブミを
取り出す.アブミを掛けかえながらほとんど水線通しに登る.
落口直下5mの所で、どうしても水中にアブミを使わなくてはならなくなった.落口をトラバースするスタンスが無い
のだ.流れに逆らって、ようやく半分程入ったハーケンにアブミを掛け強引にトラバースしたが、アブミの回収は大変
だった.水中でアブミのプレートが右に左に踊り、下半身水に浸かりながら、やっと指先でカラビナを掴んだときはホッ
とした.長居は無用と、サッサと落口へ脱け出す.40m一杯で、滝上の潅木にビレーし、T村さんに合図する.
取り付いてから1時間、アブミ3台、ハーケン1枚を使用したタツマノ大滝は終了した.
寒いので、すぐザイルを巻いて、遡行を続行.
滝上からは、ナメ滝やらチョックストーン滝やら、小滝を含めると20以上も滝の連続する「モリノクボ漠流帯」と呼ば
れる地域.2人共、好きなルートを選んで通過し、水流が細くなって来た所で靴に履き替える.
ここからは、割合楽な藪漕ぎで、午後1時、長沢背稜に出られた.

タツマノ大滝に新ルートを開けなかったとは言え、初めてTOPが出来て嬉しかった.

TOP I BACK
67.10.15