合宿で、東北の山へ行くのは初めてだった.
東北の山はアプローチも長いので、それだけ人も少ない
だろうという事と、S島の強い希望もあって、飯豊連峰
縦走する事になった.
参加メンバ−を二つに分け、扇の地神から直接、稜線を
辿るパーティと、石コロビ雪渓を登って稜線に出るパーティ
を作り、共に御西小屋で合流する事になった.
メンバ−:S島、M本、Y中、O沢、T橋、F井

■7月29日(晴)小国〜長者ヶ原〜飯豊山荘〜入門内沢出合
上野を夜行で出て、米沢から米坂線で小国へ.登山者と
荷物で一杯のバスに1時間半揺られて長者ヶ原.
さらにトラックで30分走り、着いた所からやっと歩き出す.

飯豊連峰

山の日記
夏山合宿で、初めて東北の山を
登った記録です.
さすがに、歩き出すまで、飯豊は遠かった.
約1時間半で飯豊山荘に着き、ここで、扇の地神から登るS島のパーティと別れてヌクミ平に向かう.
カイラギ沢の左岸に付けられた道はかなり悪い.地竹ヶ原を通過した所で、道が無くなってしまった.
明瞭な踏み跡が右のドロ壁を直登している.
おかしいとは思ったが、やむなくザイルを出しフイックスする.果たして40m程登ると、踏み跡が無くなって
しまった.Y中が空身で偵察に行くと道は無いと言う.仕方なくザイルを伝って下の雪渓に降りると、雪渓上に
靴の跡を見つけた.
靴の跡を伝っていくと、左岸に道が見つかる.これから先も所々岩場があってザイルを使う.涸れた滝の落口を
トラバースしていた時、T橋が滑って危なく落ちて行く所だった.ザイルで確保していたので事無きを得る.
5時半、やっと入門内沢出合に着く.目の前から石コロビ沢がズッ−と稜線近くまで一直線に伸びている.
Y中に夕飯の支度を頼み、アイゼンが初めてのT橋に雪上歩行を教えた.

■7月30日(晴)入門内沢出合〜カイラギ小屋〜御西小屋〜文平ノ池
6時半に幕営地を離れ、石コロビ雪渓へ入る.斜度は15度位だが、初めからアイゼンを付ける.雪渓上はスプーン
カットで、その上にドロが乗っており、結構汚い.2時間半で二股.例年だと稜線直下まで雪渓が伸びている様だが
今年は二股で、雪渓がグサグサに切れていた.アイゼンを脱ぎ、インゼルの様な所を登ると又雪渓が現れ、
これを登ると稜線上に建つカイラギ小屋に出られた.稜線から見下ろす石コロビ雪渓は、今朝出て来た入門内沢の
出合まで一直線に伸びていた.
飯豊は、特に午後になると雪渓からの蒸気でガスが湧く様で、稜線上はガスっており周りが良く見えない.
地形の確認が出来ないまま、与四太郎池を過ぎ、天狗の庭に張ってあった大きなテントを御西小屋と間違えて
ガッカリし、ただ、がむしゃらに稜線を行く.御西小屋には3時半着.
大日岳手前の、文平ノ池が真下に見える稜線上にテントを張る.S島パーティは御西小屋までは来ている様だ.

■7月31日(晴)文平ノ池〜大日岳/往復〜御西小屋〜駒形山〜飯豊山〜ダイグラ尾根〜飯豊山荘
サブザックで大日岳を往復.30分程で大日岳の頂上に着く.頂上からの日の出は、飯豊山の上から出て大変
きれいだった.帰ろうとしたら、登って来たS島パーティと、久し振りの再会.我々は先に下って文平ノ池で合流し、
それからは一緒に行動する.6人パーティとなって一層賑やかになる.
御西小屋に戻り、駒形山から45分で待望の飯豊本峰.
頂上で20分程休み、一路「ダイグラ尾根」に入った.この尾根が今山行の一大イベントとなった(後で地元の人に
聞くと、ダイグラとは、ホキた尾根/繁った尾根の事らしく、地元でも余り行かない様な話だった).
ガイドブックに6時間とあったので、”なぁに、俺達だったら4時間だ!”と、言っていたら、8時間も掛かり、尾根を
降り切ったのは夕方の6時近かった.
とにかく今まで経験した事のないアップダウンの連続で、岩場も方々にあり、おまけに水場は1ヶ所も無い.
6人で9リットルの水が、下り着くまで大事に残していた0.5リットルになっていた.
8ピッチ掛けて尾根を下り、やっと沢に出ると、ここの橋は一本橋.3m下にはゴウゴウと雪渓からの冷たい水が
流れている.落ちたら一巻の終りと、一人ずつザイルを張って確保しながら渡った.
周りが暗くなってきたので電灯を出して歩き、飯豊山荘には夜の8時過ぎに到着.
ダイグラ尾根のおかげで、16時間の長いアルバイトだった.

■8月1日(晴)飯豊山荘〜トラック乗場〜小国〜米沢〜帰京
ゆっくりパッキングして山荘を後にする.トラック乗場で迎えが来るまで、男だけ上半身、水浴

初めて行った東北の山はさすがに深く、また、ダイグラ尾根の下りは、いい想い出になった山行だった.
文平ノ池から大日岳
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71.7.29