部の春山合宿を二人だけで行ったのは、
初めてだった.五竜岳には三回登っている
のでルートに対する不安も無く、同行のM本
も気心の知れた相手なので、かなり気楽な
合宿だった.

二人だけの春山合宿(遠見尾根から五竜岳)

山の日記
このコルで、立ち往生!
      ●
遠見尾根から、五竜岳と白岳
■4月29日(快晴)神城〜大遠見
昨夜は国鉄ストのため、大町のステーションホテル(駅のベンチ)泊り.
一番列車で神城駅に5時30分着、遠見スキー場へ向かう.
リフトの掛かった冬季用登山道を1時間、一汗かいた所で、リフトの終点に着く.
この辺でやっと雪が出て来た.雪の付いた斜面を登り、遠見小屋にちょっと寄って、小屋番と話し、すぐ出発.
地蔵の頭を越えて、小遠見から派生している尾根に取り付く.暑いのでシャツ一枚で行く.
小遠見の手前で、鹿島槍が見え始めた.
汗だくになって、小遠見のトラバースを終り、べったり雪の付いた遠見尾根の稜線に入る.ラッセルも大した事なく
左に鹿島槍ヶ岳とカクネ里、五竜岳、右に唐松岳から八方尾根と、抜群の眺め.
大遠見から少し行った、鹿島槍とカクネ里が正面に見える雪原にテントを張る.まだ2時.
雲行きがおかしくなって来たと思ったら、たちまちバリバリと雷が鳴り出し雪も降ってきたが、1時間で雪も止み
快晴に戻った.後は、M本と景色を眺めて終了.

■4月30日(快晴)大遠見〜五竜岳(往復)
5時30分、テントを出る.白岳のコルまでは、ほとんど遠見尾根の稜線の左側を歩く.
雪が締まっているので、アイゼンが良く効いた.白岳のコルから、広大な急斜面を直登して白岳に出ると、
目の前の黒部谷から吹き倒れそうな風が押し寄せていて、フラつきながら五竜小屋に下った.
小屋は、半分ほど雪に埋まっている.
小屋の前は風も無くポカポカしていて、上に行きたくなかったが、風が収まりそうに無いので、やむなく出発.
夏道のトラバースはいやらしく雪が付いている.鎖場は難なく通過したが、頂上直下の、下がスッパリ落ちた
雪壁は手こずった.丁寧にステップを切って這い上がり、稜線から5分程離れている五竜岳へは、9時着.
大遠見から、3時間30分.何時ものようにM本と握手し、1時間程、景色を楽しむ.
鹿島槍への稜線は、さすがに鋸の歯みたいなリッジが続いている
帰りは風が強いので注意しつつ、さっきの雪壁は後ろ向きで下った.五竜岳から少し降りたコルに出ると、
余りの風の強さに、身動き出来なくなってしまった.M本と二人、ピッケルで耐風姿勢をとったままの状態で
10分位我慢したが、とうとう二人ともそのままの姿勢で、カニの様にいざって下りた.
白岳コルまで帰り、一息ついてから、来た道を戻る.テントには11時30分着.
昨日に引き続き、今日も6時間行動.午後は、日光浴と読書で過ごす.

■5月1日(快晴)大遠見〜天狗岳(往復)〜遠見小屋〜リフト付近
行いの良い男が二人来ているので今日も快晴.ゆっくりテントを畳み、9時30分出発.
小遠見から、こんな時しか行けない天狗岳を往復した.
天狗の頂上では、とうとう暑さに参って二人とも裸になった
小遠見に戻って、遠見小屋へ.下山中、”今日はシャバへ下りずにどっかで泊まろうや!”と言うことになり、
遠見小屋から下ったリフトの終点付近に幕営(午後1時).
夕方、はるか下の神城の町に灯がともる頃、我々二人は羽毛服を着込んで下界を眺めながら飯を食っていた.

■5月2日(快晴)リフト付近〜神城駅〜帰京
のんびりスキー場を下って、やっとアスファルトの道路に出、神城駅から帰京した.

たった二人の合宿だったが、けっこう色々あって楽しい合宿だった......と、思う.
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73.4.29