■66年2月20日屏風尾根(T田さん、T村さん、K木、F井)
昨夜は5合目にビバークした.朝から幸いに風も
無く曇天である.6合目あたりから吉田大沢をトラ
バースして屏風尾根の取り付き易い切れ目に向
かい、稜線に出る.富士の裾野には点々と雲が
浮かび、南アルプスが良く見えている.尾根上
は富士特有の火山岩が氷でコンクリートされ、
青氷になった氷田が点々とあった.

冬富士登頂

山の日記
屏風尾根(2月)、吉田大沢(12月)
から登頂した記録です.
この氷はアイゼンを全く受け付けず、ステップを切って登り続ける.
大きな氷田が現れ、ステップを切っている間にT田さんが滑落したが、岩場帯で止まったのでホッとする.
しかし、膝を打ったので、この地点で別れ下降.

屏風尾根は登ってみると、実に長い尾根で、あれが頂上と登って行っても、頂上はまだズーと先で気が疲れる.
前回、この尾根を登った時は、もの凄い吹雪の中、頂上まで100mの所で引き返したが、今回は風も無く、
飛ばされる恐れは無いが、事故の後だけに慎重にステップを切って登り続ける.
頂上に着いたのは、正午近かった.
雪に覆われた巨大な噴火口と、遠くにポツンと気象庁のレーダードームが見えていた.
先に下ったT田さんのことも気掛かりで、夏道まで噴火口を廻って、鳥居の所から下った.
降り口からはズーッと青氷が続いており、アイゼンを一歩一歩蹴り込んでも爪の先までしか入らず、一番、
恐かった.途中からルートを失い、静岡県側に下っていて、大分降りてきてから左へ大きくトラバースして
いる内、三人共、バラバラになり、先に下降したT田さんと落合えたのは、5合目付近だった.

■67年12月3日吉田大沢(U松、F井)
小御岳流しでの雪上トレーニング最終日、リーダーが自分とU松を頂上アタックに出してくれた.
大沢の雪崩は発生すると大きいそうだが、今日は幸い雪質も安定しており、びっしりと固い雪の付いた大沢を
直登した.真っ直ぐに登ると足首が痛くなるので、ジグザグに登って行ったが、いくら登っても終らなかったし、
急斜面なので休む場所も無い.風でバランスを崩したら、スリップして5合目まですっ飛んでしまう.
下界は良く晴れていて、真綿雲が裾野をゆっくり動いていた.
嫌になるほど登って9合目付近に着くと、一時、平坦になり、ここから夏道右のコルを目指して再び登る.
コルに出ると、目の前が噴火口で、雪をかぶったレーダードームが静かに立っていた.
コルから少し右に登って頂上に着き、ピッケルに部旗を結び、ヒマラヤよろしくシャッターを切る.
下山ルートも大沢にしたが、9合目の台地で、S峰山岳会のメンバ−と来ていたT葉さんと会い、また、偶然
にもこの年の1月、丹沢の水無川本谷で引っ張り上げた、何処かの会の女性にも会った.
この付近は、頂上から吹き降ろす風や、屏風尾根からの風が来て、落ち着けない.

6合目まで一気に降りると、気圧の変化で耳がキィーンとなる.
頂上を見上げると、相変わらず雪煙が大沢をゆっくり這うように流れていた.
富士山頂上のレーダードーム(2月)
TOP I BACK
66. 2.20
67.12. 3