八ヶ岳へは6人で行ったが、南稜はこの内3名で
登り、行者小屋で合流する計画だった.
メンバ−:B馬さん、K木、F井

■3月19日(雪)茅野〜角木場
小雪のちらつく茅野から、最終バスで八ヶ岳農場
まで入る.農場に着く頃には日が暮れ、ライト
の光の中で雪が舞っていた.
ゆっくり歩いて、角木場付近にテントを張る.
南稜用の3人用冬テントを使わず、6人全員が別の
5人用テントに寝たので、少し狭かった.
■3月20日(吹雪)角木場〜立場山〜独標の手前
みんなと別れ歩き始めたが、しばらく行って、阿弥陀岳
の御小屋尾根を登っていることに気付き、一度、元の
角木場に戻る.これで2時間ロスする.
8時30分、今朝出発した南稜への分岐に出て、ようやく
再出発.立場川は思った以上に大きな川で、右岸に
付けられた立派な道を歩き、河原に降りると、旭小屋
があった.小屋には”ファイト小屋”の木札が張って
あり、数人が天候待ちをしている様だった.

冬の阿弥陀岳・南稜

山の日記
阿弥陀岳・南稜
3月の部計画で南稜を登った記録です.
小屋の横が、南稜の取り付き点.南稜の末端はすぐ小屋の上で、積雪は20cm程度.稜線までは短いが
傾斜がきつく、登り切ると旭小屋が遥か下に見える.立場山の登りはラッセルされているが、ザックが重くて
ヒィヒィ言う.どこが頂上か分からない立場山で休む.
立場山を過ぎると右側がガレて来て、この辺が青ナギと呼ばれている地点.南稜も近くなって来たが、
吹雪はますます激しくなり、南稜を中止して降りてくる雪まみれのパーティとすれ違う.独標のすぐ手前の
森林限界で、目を開けていられない程の吹雪となり、行動中止.稜線にテントを張る.
右側は大きな雪庇、左側は広河原へ落ちる森林帯で、非常に狭い場所.ここに3人用冬テントを張るのには
苦労させられた.ナタをふるって木を倒し、やっとテントが張れる位のスペースを確保する.午後2時半に
テント設営が終り、暖かいテントにもぐり込んでホッとする.吹雪は一晩中吹き荒れ、テントが飛ばされそうになる.

■3月21日(吹雪→快晴)停滞/南稜P2まで偵察
午前3時に起床して出発準備したが、相変わらずの猛烈な吹雪で、止む無く本日は停滞となる.
早速、食料制限が始まる.なるべく体力と燃料を消耗しない様、シュラフに入ったまま.
今日は行者小屋にいるパーティと合流の日なので、トランシーバで呼び出すも、地形の関係か交信不能.
11時半頃ベンチレータから覗くと、青空が見え、一気に天候が回復してきた.雪に埋もれたテントを出ると、雲が
ドンドン飛ばされ青空が広がっている.早速、完全装備で南稜の偵察に行く.
独標へ上がってみると、目の前に巨大なドーム状のP2、その奥にP1、阿弥陀岳の山頂は、遥か彼方
ガスに隠れていた.一番気掛かりなP2基部とP2を回り込んだルンゼを偵察し、幕場に戻る.
食料制限なので、今日はモチが一人当たり2ケのみ.腹が減って、寝られない夜を過ごす!.

■3月22日(曇→雪)独標〜P4〜P1〜阿弥陀岳〜行者小屋
P2のルンゼを雪の締まっている内に通過しなければならないため、5時に出発.独標、P4、P3は難なく通過.
1ピッチでP2基部に着く.基部を左に50m程トラバースし、昨日偵察しておいた細いバンドを伝ってルンゼの
入口へ.このルンゼは広河原奥壁3ルンゼのつめにあたり、見上げるとやけに急で青氷が出ている.ピッケルで
慎重にカッテングしながら約100m程上がると、ルンゼが広くなって、P2の上部に出られた.
P2だけで40分、途中にビレー点が無いのでザイル確保も出来ず.
P2から単調な尾根伝いにP1へ.P1は左に少しトラバース(トラバース地点にハーケンあり)し、膨らんだ雪壁を
登ってガリ−に入り、約150m程登って終了.P1から阿弥陀岳の頂上へは、右に5,6mトラバースして
立場川側のルンゼを50m程直上する.ルートが右に左に曲がっており、吹雪かれたら苦労するだろう.
頂上へ抜け出るルンゼは、昨日の雪で今にも雪崩が出そうなので、雪面にショックを与えない様に注意して
ラッセルする.停滞した独標の幕営地から、約2時間で長かった南稜から抜け出し、阿弥陀岳の頂上を踏んだ.
三人で固く握手!.
写真など撮っている内に、また吹雪になって来たので、早々に行者小屋への下降を始めた.
なんど通ってもいやらしい、中岳コルへの下降をやっと済ませ、コルからは尻セードで下まで滑り降りた.
行者小屋のパーティに合流したのは、7時30分だった.


・・・・・・・・・・・雪が無いときの南稜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
上記と同じ年の11月、Hさんと、同じルートを通って南稜へ行った.独標〜阿弥陀岳:2時間半.
P2はリッジルートをザイル一杯40m、1ピッチでP2の肩に出た.ホールド、スタンス共、八ヶ岳特有の
 ボコボコした岩で、快適な登攀だった.
・P1は、正面右ルートを登攀.基部から右斜上しているバンドを伝い、バンドの切れた所でザックを吊り上げ.
 ここから80度位の岩場を30m直上し、広いテラスで終了.

別の年の9月に、清里で部の35周年記念式典があり、前日からみんなで行って阿弥陀岳頂上からP2までを
往復した.上から下ってみると、意外にゴツゴツした岩尾根だった.
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66.3.19